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2018-06

物書き進化録 - 2011.01.05 Wed

新年おめでとうございます。

昨年中はこれといって筆が進まず、ぐだぐだの松果でしたが、Twitterなどで新しく交流も生まれたことですし。
2011年はまた決意も新たに書いていきますのでよろしくお願いします。

では書き初め代わりに(?)
昨年来、創作仲間さんの間で流行っているらし「物書き進化録」に便乗して、これまで書いてきた自分の文章を比較してみるというおっそろしい試みに挑戦してみます。

物書き進化録 リンク集(管理人:桐原さくも様)
http://www3.rocketbbs.com/601/monokaki.html

とはいっても、私の作品なんて古いもの引っ張り出したらきりがないのでオンノベのみ。
データとして残っているのは2006年からなんですけどね。
文章作法すら知らない頃のこっ恥ずかしいあれやこれや、未公開分まで発掘するはめになりました……ぎゃひー!

以下、長くなるので「続きを読む」に畳みますね。

2006.12.28「ダフネー同盟」(未公開)
 
最初は義務感だった。
「和花ちゃん、白須さんとこの桂奈ちゃんをよく見てあげてね」
母は今朝もそう言った。
幼い頃からの習い性で、和花は機械的に「はい」と返事をしたものの、自己嫌悪でうんざりしながら家を出た。
(なんで私がケイナのお守役なのよ・・・)

学校への道はゆるい下り坂になっている。
5月ともなれば入学後の緊張感も取れて、騒々しくふざけ合いながら、中学生の制服の列が通り過ぎていく。
(黒い学生服に黒カバン、まるでお葬式みたい。)
そう、毎日がうるさいお葬式。なにを、葬るのかは知らないけど。

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うぎゃー! これは恥ずかしくて死ぬ。
中学生主人公のちょっとホラー系学園モノを書こうとして頓挫したブツです。文章作法どころか、まだ3点リーダや行頭空けすら知らなかった頃です。



2007.7 「竜の愛娘」(後に「竜王の愛娘」と改題)

 夏の日の午後は長い。けれど八月も終わりになると、夕風が涼しくなる。
 散歩には良い季節かもしれない、とオーリは思う。

 さっきからマーシャとエレインが、何やらもめている。
「オーリ聞いてよ、マーシャったらあたしにスカートはけって言うのよ!」
「当たり前でございましょ、年頃のお嬢様なんですから。せめてお二人でお出かけの時くらい、身ぎれいになさいませ!」
 オーリは笑いをこらえるのに苦労した。
「マーシャ、エレインに人間の価値観を押し付けたってダメだよ。
エレイン、そのままでいいよ。別に街に出かけるんじゃなし、散歩に出るだけだから」
 エレインは「スカート」なるものから解放されて喜んだ。

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「20世紀ウィザード異聞」をブログで書き始めた頃に、設定メモのように書いた番外編です。
その後加筆して現在公開している番外編と比べると、かなりぶっきらぼうな書き方ですなあ。



2007.8.1「オーリローリ」

 その日、10歳のステファン・ペリエリは落ち着かない様子で家の中を行ったり来たりしていた。
今日の午後、大事なお客が来る事は、母親のミレイユから聞かされていた。
父オスカーの親友であり、作家でもあるという人物だ。
 母がこのお客をあまり歓迎していないこともうすうす感づいていた。それというのも、かの作家のもう一つの肩書き「魔術師」というものが気に入らないからだ。
 ステファン自身は、わくわくして仕方なかった。
 父の親友が「魔術師」なんて!いったいどんな人だろう?
 目の前で、何か不思議な魔術を見せてくれるだろうか?

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「20世紀~」と「オーリローリ」は最初、序盤だけ共通で途中から分岐する話だったのです。
この時はまだ「魔法使い」が「魔術師」だったり、オーリの登場シーンが後になったりしてますね。
冒頭からいきなり「その日」とか(笑)まあ突っ込みどころは満載でしたともさ。


20070802 「ステファンの初恋」(未公開)

 オーリが連れてきたのは、10歳くらいの少女だった。
ステフはあっけにとられた。女の子とは聞いていない。てっきり醜悪なモンスターかなにかを想像していたのに。
肩先までの真っ直ぐな黒髪。やや黄色みを帯びた肌。異国から来た子なのかも知れない。何よりも、眉の高さできちんと切りそろえた前髪の下、強い光を宿す黒い瞳と一瞬目が合って、ステフはすっかり舞い上がってしまった。

「ステフ、この子を何と見る?」
「・・・可愛いです・・」
オーリは吹き出した。
「そういうことじゃない。この子の正体を当ててみなさい、と言っているんだ」
「ご、ごめんなさい!」
ステフは真っ赤になりつつ、杖を構えて懸命に集中した。
「ええと・・ええと」
ステフと対峙して、少女は口を一文字に結び、睨むようにこちらを見ている。
視線を合わせられず困りながら、それでもステフは少女の背景に見えてくるものをイメージした。
青。いや緑碧というべきか。そして白。どこまでも無垢なる白。
その中で高く、空を目指して駆け上る小さな生き物。
「あ・・・!鳥だ?」
美しい乙女の顔と鳥の翼を持つ姿・・まさか、ハーピー?

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いや~! ステファン13歳頃の話ですが、はーこりゃ痛い。痛すぎる。
「無垢なる白」とかカンベンして(笑)
3点リーダ、ナニソレ状態でテンテン2つになったり3つになったりしてます。


200708 「番外編:父との邂逅」(未公開)

オーリは立ち上がって墓所の出口に向かったが、しばらく立ち尽くし、再び戻ってきて座った。
「なんだ?出て行くんじゃなかったのか、もう年寄りに見せ場はないぞ」
「そうもいかない。雨が降っている。ここで夜明かしするしかない」
「雨だと?・・そうか。死者と死に損ないにはふさわしいな」
グロフは臥しながらつぶやく。無視して背を向けたまま、岩の上にゴロリと横になるオーリ。
グロフも背を向け、しばし背中合わせのまま無言の父と息子。
何時間経ったろうか。
闇の中に臥していると、ここが現世なのか冥界なのかさえ判らなくなる。
崩落した墳墓の奥から、古い魂が呼びかける気がする。
もう夜明けは近いはずなのに、ふたりともまんじりともしなかった。

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オーリが生き別れだった父親とようやく再開した話ですが、えーと……もうどこから突っ込んでいいやら。
これを書いた時は父親の名がグロフ(本編ではシウン)母親がカミーリア(本編ではオーリガ)になってました。
この部分はいくらかマシですが、あとはほとんど台詞を並べただけでとてもお見せできましぇん(汗)
小説というより設定メモみたいな文章です。


2008.5.07 「カゴを持っておつかいに」

 五月の最初の日曜日。
 台所にいたお母さんが顔を出して、ゆいかを呼びました。
「困ったな、ホットケーキを作るのにお砂糖がちょっと足りないの。ゆいちゃん、『桐やさん』で買って来てくれない?」
「うん、いいよ」
 ゆいかは張り切って水色のカゴを持ちました。もう三年生なのですから、お使いは慣れたものです。
「おつかいに行くの? みいちゃんも!」
 妹のみずきがぴょんぴょんはねながら言います。またか、とゆいかはいやーな顔をしました。
「もう、みずきはお留守番しててよ。あたしがお母さんに頼まれたんだからね」
「や、いっしょに行く!」
「そうだ、二人で行くんならレモンと牛乳もお願いしようかな。ちょっと重くなるけど、持てる?」
「持てるよう。そんくらい、ひとりでも大丈夫なのに」
 ゆいかは口を尖らせました。

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投稿サイトの企画用に初めて書いた短編童話です。
小学校低学年を対象にしているのに、当初は漢字や熟語を無頓着に使ってました。
後にひらがな表記を増やしたり、言い回しを変えたりしてようやく現在公開している文章に落ちつきました。


2008.05.29 「ジャジャムのとき」

 ハナミズキの花は、いつの間にか散ってしまった。
 通学路の両脇を彩る白やピンクのツツジの花が、どうだどうだと咲き競っている。

「今日持ってきてくれるって言ったよね」
 その日カンナはぶつぶつ独り言を言いながら真っ直ぐ家に向かった。いつもなら乾物屋の柴犬をしばらく構ってから帰るのだが、今日はそれどころじゃない。
 家に着くなり通学鞄を玄関に放り込むとそのまま勝手口に回った。
「やほー、来てる来てる」
 戸を開けた途端に、ほわりと甘い香がする。流し台の上には粒の揃っていない苺が、二つの箱に分けられてドンと置かれていた。
 毎年五月中旬になると、こういう規格外の苺が家に届く。どうせシーズンの終わりになるとお店に卸しても安いから、と苺農家のハタさんが持ってきてくれるのだ。
「あんたハタさんに会ったらちゃんとお礼言いなさいよ。規格外ったって作る手間は同じはずなんやから」
 洗濯物を取り込みながら声をかける母にハイハイと適当に返事をしておいて、苺を早速一粒、口に放り込む。
「ん、おいしっ」
「ちゃんと洗(あろ)うたん?」
「洗った洗った。あ、そうだお母ちゃん、ねえねえねえ」
 取り込んだ洗濯物を抱えたままの母の肩に、カンナは甘えるようにひっついて歩いた。
「ちょっとやめなさい。なに、おねだり?」
「ケータイよケータイ。いつ買ってくれるん?」
「あほらしい、部活や塾で遅うなるんならともかく、『帰宅部』にケータイなんか要りますかい」
「えー、そんなあ。友達は……」
「みんな持ってる、とか言うつもりやろ。その手は古いで、お嬢っちゃん。うちはまだ買わん。買わんちゅうたら買わん。ハイハイ手伝わんならどいて」
 知らん顔で家の奥に引っ込む母に思い切りイーッとして、カンナは二階に駆け上がった。

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ちょっと長くなってしまいました。
「カゴを持っておつかいに」と同じ企画用に書いた作品ですが、方言で台詞を書こうとして、どこまで実際の方言に近付けるか、こんな作品が受け入れられるのかといろいろ悩んだ作品です。
勢いだけで書いたドタバタファミリー劇場(笑)ですが、無料の電子書籍として公開してみたところ、意外に好評なので驚いています。



2008.07「20世紀ウィザード異聞」(改稿版)

 七月の雨が降る田園の中に、オーリローリ・ガルバイヤンは降り立った。
 刈り入れの終わった大麦の畑に代わって、この季節を彩るのは果樹園の緑だ。青々と葉の茂る葡萄棚の向こうに、古びた黄色い壁の屋敷が見える。
「来たよ、オスカー」
 彼は呟き、瑞々しい草の香を胸に吸い込むと、雨の中を歩き出した。
 長身の背を包む季節はずれな黒いローブに、彼の長い銀白色の髪に、雨は降りかかる。が、少しも濡れている様子はない。

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オーリの登場シーンを最初に持ってきたのはブログで書いていた頃ですが、一度完結した後、サイトを作る時に加筆し、あちこち直したので「改稿版」です。
プロローグだけでも何度書き直したことやら。


2008.11.05 「祖父の暗室」

 人の記憶は、どのくらい確かなものだろう。
 
 祖父の葬儀が終わり、火葬場のロビーに座りながら、ぼんやりと俺は考えた。
 防虫剤と抹香の臭いが混じったようなロビーには喪服が行き交っている。
 盆や正月にさえ会ったことない親戚連中に挨拶するのにも疲れて、缶コーヒーでも飲みにいこうかと立ち上がると、兄と目が合った。
「マコト。退屈してんな」
 返事をせずに自動販売機に向かうと、隣に立った兄がぼそりと言った。
「お前さっき釜入れの時にいなかっただろ」
「見たくねえし。カズ兄ぃ、じいちゃんが骨になるなんて想像できる?」
「ガキか。高ニにもなって何言ってんだよ」
 ゴトリと音がして落ちてきたのを取り出し、ほれ、と声を掛けて兄が差し出した缶を見て、俺は顔をしかめた。

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現在は退会しましたが、小説家になろうさん内の「2008覆面企画.秋」お題「黒」部門で1位とバレバレで賞を頂いてしまった作品。
今読み返すと、もっと書きこむべきエピソードがあったんじゃーないかと。
いつか短編として書き直したいですね。
高校生主人公の台詞を書くのに、我が家の現役高校生との会話が大いに役立ちました。家族に感謝しなくちゃ。


2008.11 「ステファンの杖」
 夏が終わる。
 ステファンは奇妙な思いに耽りながら、カレンダーの新しいページに目をやった。
 いつもの年なら、ひとつ学年が上がるごとにいじめっ子の数が増えるだけの、憂鬱な九月だ。だけど今年は違う。静かな森の中の、気まぐれな魔法使い――本業は絵描きのはずだが――の元で、静かに毎日が過ぎてゆく。学校へ戻りたいとは思わないが、本来なら新学期を迎えるはずの日にこうしていつもと同じ朝を迎えていると、自分は他の子どもとは違う道を選んだのだな、ということを実感せざるを得ない。
 雄鶏の声が一段とけたたましく、早く鶏小屋の戸を開けに来い、と催促している。少し短くなったズボンのサスペンダーを引っ張り上げながら、いつものように裸足で裏庭に出ると芝草の露が少し冷たい。季節は正直だ。

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「20世紀~」のパラレル話のつもりで書き始めた「オーリローリ」をシリーズ作品とし、その第二部として書いた頃。
2007年に書いていた「オーリローリ」の中のエピソードを膨らませて独立した話にしました。
書き始めた頃に比べると、だいぶ地の文が増えて落ちついた文章になってきたかな。



2009.01 「アドルフと鏡の魔女」(公開中:未完)

 一九五三年の暮れ、スモッグに煙る首都ブラスゼムには海を渡った大陸発の音楽が溢れ、奇抜な服装に身を包む若者がたむろして騒いでいた。そんな街の喧騒の中でも、魔法使いや魔女と呼ばれる者たちは、表向きは一般市民と変わることなくそれぞれに職業を持ち、新しい時代の波に紛れてしたたかに日々を生きていた。

 その日、郊外の川岸にひっそりと建つ石造りの屋敷の地下室で、ひとりの妖精が死んだ。原型を留めないほどに細かく引き裂かれた妖精の姿を前に茫然としているのは、古木のような老人と、まだ少年と言ってもいい風貌の若い男だった。
「ドルファス、本当にお前の仕業なのか」
 青ざめていた少年は、両手で顔を押さえ、黙って震えた。

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「オーリローリ」第三部です。これも当初の作品の中からアドルフのエピソードを独立させたもの。
「20世紀~」でのステファン少年がいい子過ぎて、その不満から思いっきり腹黒い悪役を書きたくなったのです。でも連載止まりっぱなしじゃお話になりませんな。早く再開したい~


2009.04.15 「テータテート~内緒話~」

「ミツバチが帰ってこないんですよ」
 クローバーの葉かげで、ヒキガエルの奥さんがため息をつきます。
「それは困りましたわねえ」
 私はあいづちをうちながら、陽に干していたミノムシのぬけがらをぽんぽんと叩きました。成長したミノガたちが残していったぬけがらは、丈夫な織物のようで何かと重宝なのですが、最近はめっきり数が少なくて、今年は探すのにずいぶん苦労しました。これらを切り開いて縫い合わせ、私と妹のコートに仕立てるのが毎年の楽しみだったのですが。
「デイジー、デイジー、裁ちバサミを取ってきてちょうだい」
 キンポウゲの花の向こうに声をかけると、はあい、というのどかな声が聞こえました。

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短編童話2作目。これも企画物です。
対象年齢は特に考えず、小学校中学年くらいなら解ってくれるかな、くらいに考えて、敢えて難しいテーマを扱ってみましたが、結論なんて出してませんよ。もう丸投げ(笑)
小人さんの独白のような一人称で少し古くさい言い回しが多かったかな~とも思ったんですが。
後にdノベルズさんに投稿したところ、非常に好評を頂きました。ありがとうございます。
 


2009.04.21 「光の向こうのガーリャ」(公開中:未完)

 一九四〇年の十月、オーレグ・ガルバイヤンは風の吹く田舎路を独りで歩いていた。
 彼が羽織っている時代がかった黒いローブは、十三歳の少年には少し大きすぎた。しょっちゅう足に絡まったり裾を踏んづけたりするのでその度に歩みを止めねばならず、彼は父祖の国であるジグラーシの言葉で悪態をついた。
 魔法使いなどという前近代的な職業が、今時どれほど一般の人に認められているのかは知らない。少なくとも自分は認められようと努力してきたつもりだ。八歳の時に高名な魔法使いソロフの元に預けられてから、ずっと。けれどもうやめだ。

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「20世紀~」番外編その2、オーリの少年時代の話です。
これはもう、書きたいように書きたいスタイルでゴリゴリ書いてます。
連載止まってますが、この作品だけは我儘を通したいので、もうしばらくお待ちを。



2009.06 「オーリローリ(シリーズ)第一部」改稿中

 その朝、十歳のステファン・ペリエリは騒々しい叫び声で起こされた。
「うわーっ、またやられた!」 
 
 誰かが廊下を走っている。もともと寝起きはいいほうではないが、これではさすがに寝ていられない。いつもの習慣でベッドを右側から降りようとすると、壁にぶち当たった。見慣れない薄青色の壁紙。目をこすりながら見回すと、カーテン越しの光に浮かぶ折りたたみ式の机、チューリップ型の電燈。どれも見慣れない。
 そうだ、ここは自分の家ではない。ステファンは跳ね起き、自分の両頬をぺちぺちと叩いた。
――夢の続きじゃない、よね。じゃあ昨日のことは本当だったんだ――

---------------------
冒頭部分が面白くない、との娘からの指摘を受けて、それじゃ楽しくなるように書いてやろうじゃないかと書き直し中の作品です。改稿中で止まったままですが……

2009.08 「ヒマワリ」

 その店がいつ頃からあったのかは知らない。
 
 カンナたちがまだ小学生だった頃、商店街の外れに、煤けた紺の暖簾《のれん》をぶらさげて『オッチャン店』はぼそりと建っていた。建て付けの悪い入り口の引き戸は、もとは水色だったのかもしれないけど、ペンキが剥げかけて何色かよくわからなくなっていた。通りに面した出窓には、思いっきり下手くそな文字で『焼きそば・お好み焼き』と書かれていたが、実際にはたこ焼きが一番売れていた。

「ねえ、今日どっち行く?」
 プールからの帰り道、八月の強烈な日差しを避けながら、カンナは親友のチハルちゃんに小声で言った。
「うーん……オッチャン店、かなあ」
 チハルちゃんもまた、悪い内緒話でもするように声をひそめた。
 オッチャン店に子どもが出入りすることは、大人たちにあまり良く思われていない。理由は知らないが。けれど、大人が眉をひそめることに敢えて挑戦したくなるのは、これ、大昔から綿々と続く子どもの習性だ。まあ、たこ焼き買ったくらいで咎められた話は聞いたことがないけど。
「どっち行くったってカンナちゃん。あたしらのお小遣いで行ける店いうたら『オッチャン店』と、カキ氷の『浜ちゃん店』くらいしかないやん」
「あは、そうだった」

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「ジャジャムのとき」のカンナが小学生の時の話です。
台詞は相変わらず方言(実際の言葉よりソフトです)ですが、若干勢いが落ちたように感じるのは、内容のせいなのか、歳のせいなのか……


2010.05 「七年目の約束」

 誕生日プレゼントは懐中時計がいい、と妹は言った。
 あーはいはい、1000円くらいで売ってるポケットウォッチね、と答えておいて、私は内心焦った。じつはお財布の中、かなり厳しい。
 まったくもう、なんだって五月末に生まれたかね、瑞希は。タイミングが悪い子だ。
毎年のことだけど、母の日に奮発してお小遣い使っちゃった後になるから、妹の誕生日のことまで気が回らないって。
 それにしても、なんで中学生が懐中時計なんて欲しがるんだろう。

---------------------
お題バトル作品。女子高生主人公の一人称という、初めての試みです。
内容はほとんどどーでもいいような姉妹の日常スケッチですけどね。
ある程度くだけた表現で、でも話言葉寄りになり過ぎないようにと、かなーり考えたつもりなんですが。
どうなんだろうなあ……


2010.07 「アリアを探して」

 紫陽花ってやつは、夏以外は全く気配を感じさせない花だと思う。
 本当は、他の季節だって生きているのだけど、なぜか気付かない。そして梅雨時にあの大きな花房をつけるようになって初めて、その存在に驚かされるのだ。
 転校生の有亜(アリア)も、そういう意味では紫陽花のような子だったかもしれない。
 俺たちの中学にある日ひっそりと転入してきて、他の生徒とは違うデザインの制服を着、違う訛りでしゃべっているのに、さして違和感を感じさせないまま日々を過ごし、いつの間にか風景の一部になっているような子だった。

---------------------
これもお題バトル小説。
何が言いたいのやら消化不良ですね。難しいわあ。


2010.10 「番外編:新月が巡り来るたびに」

 明け方の浅い夢の中で、オーリローリ・ガルバイヤンは風の音を聞いていた。
 海に囲まれているこの国では、雪に降りこめられるということはないにしろ、やはり冬は太陽との縁が薄くなる季節だ。鎧戸を閉めた窓の向こうは、まだしばらく冷え冷えとした闇が居座っているのだろう。
 だが、それも悪くはない。愛する者と共にあるなら。
 十二月の遅い夜明けは、恋人たちに優しい――はずだったのだが。

「起床ーーーーーっ!」
 突然響く大声に夢の名残を引っぺがされ、オーリは跳ね起きた。
---------------------
はいすみません、出来心で書いた番外編を長く引っ張ってます。
もうちょっと軽いものを書く予定だったのに、「20世紀ウイザード異聞」本編で書かなかった設定をどんどこ後出ししています……



2010.11 「彗星・流星」

 寒い。着こんできたけど、明け方はやっぱり海風が寒い。
 堤防沿いの家から、美味しそうな匂いと、うすい煙が漂ってくる。暗いうちから朝ご飯の支度をしているらしい音は、魚屋の辰さんちだ。バイクで走りながらチラっとこちらを見ていくのは新聞配達。懐中電灯を片手に堤防に向かって歩く私なんかとは関係なく町の音はひとしきり響き、そしてまたしんと静まる。
 
 五時四〇分。メールを確認するついでにチラッと時計の数字を確かめて、携帯を閉じる。
「来ないな、こりゃ」
 待ち合わせの場所、堤防の石灯篭あたりには誰もいない。東の空はまだ暗い。夜明けにはまだ早いし、中途半端に肥えてノホホンと輝いてた月もとうに眠っている。流星を観察するなら今が絶好のチャンスなのに。お月さんみたいな円(マル)の顔を思い浮かべて、私はふんっと鼻で笑った。

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お題バトル作品をベースに書いた掌編。
私にしては珍しく、恋愛をテーマに書いてます。
結構気に入ってる二人ですが、1人称難しい~

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以上、現在データとして読める作品をざっと並べてみました。
こうして読み返すと、あんまり進化も進歩もしとりゃしませんがね。
夜中に悲鳴上げたくなるほどへったくそな文章の数々。ううう、見苦しいブツまで披露してしまいましたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
これからも頑張って精進し……いや大きなことは言いません、まずは連載作品完結しなくちゃね。









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